尾池工業株式会社はプラスチックフィルムの表面加工製品や関連分野の研究開発から製品化を通じてあらゆる産業に貢献している京都の老舗企業です。その自社製品をわかりやすく訴求できる何かをつくりたい、そんな依頼から始まったこのプロジェクト。相談をもらった時点で、どの製品を訴求したいのか、またどんなものを作りたいのか、既にある程度明確になっていました。またGLM株式会社とのコラボレーションプロジェクトのため、同社TommykairaZZダッシュボードを使用することも決まっており、その特徴を最大限生かしながら、違和感なくデザインをまとめることも重要な課題でした。

 

この様なプロジェクトのデザイン作業は、まず訴求したい製品を勉強することから始まります。製品にどんな特徴があって、何が一番の売りなのか。スケッチを展開していきながら、どのような場面、色や質感で製品が一番輝くのかヒアリングを重ねデザインを煮詰めていきます。2Dのスケッチと3Dでのデザイン展開を繰り返し、モックアップやVRで確認しながら、デザインは完成へと近づいていきます。

 

このプロジェクトの目玉となるステアリングホイールのデザインは、加飾とセンサーを同時に3D成形することで、今までになかったような3次元曲面でセンサーと意匠とを融合させるとともに、面白いライティングの工夫も取り入れました。

また、パッセンジャー側のダッシュボード上面には、金銀糸の製造販売から始まった尾池工業を象徴すべく、伝統的な織り柄である「七宝繋ぎ」をインスピレーションにしたグラフィックが金属調の面に浮かび上がります。湿式メッキではできない色味と光透過の表現が美しく調和しています。

GUIデザインは、織物の柄とうまく融合させながらオリジナルのデザインとすることで、シンプルなTommykaira ZZのダッシュボードと先進的なステアリングホイールをうまく共存させました。ディスプレイには映り込みの少ないドライARフィルムを採用することで、さらに完成度を向上させてくれました。