Fortmareiがデザインを担当したGLM株式会社のシニアカーコンセプトが発表されました。
シニア世代の自動車との付き合い方が社会テーマとして度々取り上げられている昨今においても、自動車とシニアカーが同一線上で語られることはほとんどないように思います。「かっこいい」や「かわいい」など様々な選択肢がある自動車ですが、シニアカーにおいては、味気のない選択肢しかないようにも感じています。このプロジェクトでは、ただの高齢者のための乗り物ではなく、自動車免許を返納してでも乗り変えたくなるシニアカーをコンセプトにデザインを進めていきました。
このプロジェクトのデザインテーマは「究極に優しい形」です。そのデザインアプローチには、優しい形「球」をインスピレーションにスケッチで形を展開していきながら、現代の自動車のトレンドや未来的なデザイン思考をふんだんに取り入れています。デザインテーマを「球」にすることで、乗り手にも歩行者にも優しい雰囲気と、他とは違う前衛的な雰囲気との相反する二つの要素を共存させることにも注力しています。これにより、優しさを前面に押し出した雰囲気や、やんちゃな雰囲気など、同じ形状でもカラーリングによって全く違うキャラクターを表現するにも寄与しています。
このシニアカーが「シニア」という垣根を越えて、若い世代にも乗りたいと思っていただけるものになれば、という視点を絶えず持ちながらデザインを進めていきました。この思いこそが、自動車とシニアカーとを同一線上で考えるきっかけとなるデザインのキーワードだと考えています。